寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人(亡くなった人)の財産の維持または増加に特別な貢献をした人がいる場合、その貢献を相続に反映させるための制度です。民法に定められており、相続人間の公平を図ることを目的としています。通常、相続財産は法定相続分や遺言によって分けられますが、これだけでは被相続人に特別な貢献をした相続人の努力が十分に評価されない場合があります。そのため、寄与分制度により、貢献した相続人には通常の相続分に加えて一定の財産を取得できるよう調整が行われます。
寄与分が認められるためには、単に親族として通常期待される程度の世話や援助をしただけでは足りません。「特別の寄与」があったことが必要です。例えば、被相続人が長期間病気で介護が必要となった際に、仕事を辞めたり勤務時間を減らしたりして、長年にわたり献身的に介護を続けた場合が挙げられます。また、被相続人が営む事業に無償または極めて低い報酬で従事し、その結果として事業の発展や財産の維持・増加に大きく貢献した場合も寄与分が認められる可能性があります。
寄与分にはいくつかの類型があります。第一に「家業従事型」であり、農業や商店、会社経営などに長期間従事し、通常得られるべき給与を受け取らずに働いたケースです。第二に「療養看護型」で、被相続人の介護や看護を専門職に依頼すれば多額の費用がかかったような場合に、その費用を節約し財産の維持に貢献したケースです。第三に「金銭等出資型」で、被相続人の住宅購入資金や事業資金を援助し、その結果として財産が形成・維持された場合です。第四に「財産管理型」で、被相続人に代わって不動産や事業の管理を行い、財産価値の維持・増加に寄与した場合などがあります。
(具体例)
・被相続人の事業にほとんど無給で従事していた
・長期間にわたり被相続人の療養介護をしたため、付添人の費用が不要になった(法定相続人のみ、相続人の妻は不可)
寄与分がある場合は、全体の財産から寄与分を除き、残りを分配することになります。
なお、2019年の民法改正では「特別寄与制度」が新設されました。従来の寄与分は共同相続人のみが対象でしたが、改正後は相続人ではない親族、例えば長男の妻などが無償で長期間介護を行った場合にも、一定の要件の下で相続人に対して「特別寄与料」を請求できるようになりました。これにより、実際に介護を担ってきた人の貢献が一定程度評価される制度が整備されています。

