給与支払による相続税納税資金の確保とは、被相続人の死亡後、相続財産が流動性に乏しく現金不足に陥るリスクを軽減するため、日常的な給与の中から将来の相続税納付資金を計画的に準備する仕組みです。具体的には、経営者や従業員が受け取る給与の一部をあらかじめ積み立て、税務署の認定を受けた上でその金額を相続税の納税資金として充当できるようにする方法です。この措置により、相続発生時の急な現金需要に対処するとともに、納税資金確保のための資金繰り計画を円滑に進めることが可能となります。事前に専門家の助言を受け、給与支払の調整と制度利用の適用条件を十分に検討することが重要です。
法人の場合は、先代の社長が多くの給与を取ってしまうと、所得税も高くなりますし、相続財産も増えて相続税も高くなってしまいます。これを防ぐために、後継者であり想定相続人である後継者候補の給与を高くして、納税資金を確保させる方法があります。これにより、想定被相続人の所得税の支払も減らせますし、相続財産が増えることも防げます。また、同時に相続税の納税資金も確保できるようになります。ただし、この増やした給与の分を使わないで納税資金として貯めておくように、後継者に強く言っておく必要があります。
ただし、給与を高くし過ぎると想定相続人の所得税が増えてしまうので、想定被相続人の所得税と想定相続人の所得税の合計がどうなるかなども考慮して、バランスが良い給与の配分を心掛ける必要があります。
個人事業者の場合にも、後継者に対する専従者給与または給与の額を増やすことにより同じ効果が得られます。