親がアパートを保有しているケースは非常に多いと思いますが、親がもし認知症等で意思表示が出来なくるとアパート経営に支障が出てしまうことになります。後見人制度を利用することも考えられますが、後見人制度はあくまでも本人の利益になることしか出来ませんので、「大規模修繕」、「建て替え」、「売却」等の行為は原則行えません。何故なら、これらの行為が本人のために何故必要かということが求められるからです。これに対して家族信託であれば、信託契約書に書いておけば、これらの行為も含めて柔軟な対応が可能になります。
基本的な仕組みとしては、アパートに関して親が委託者兼受益者になり、子供を受託者にします。こうすることで、親が意思能力や判断能力を失った場合でもアパートに関する以下の行為が可能になります。ただし、これらの行為が行えるということを信託契約書に明確に書いておくことが必要です。
・大規模修繕
・建て替え
・売却
・賃貸借契約
・管理委託契約
また、親が亡くなって信託が終了したら、残余財産の帰属を子供にしておけば、遺産分割協議をしなくても、子供がそのアパートを承継することが出来ます。つまり、信託契約は遺言書と同じ効力を持たせることも出来ます。