A:不動産投資は、相続対策として非常に有効な手段とされています。その理由は主に三つあります。第一に「評価額の圧縮」、第二に「納税資金の確保」、そして第三に「家族間の資産分割がしやすくなること」です。
まず、不動産は現金や株式に比べて、相続税評価額が低く抑えられる傾向があります。現金は額面通り100%評価されますが、不動産は「固定資産税評価額」や「路線価」で評価されるため、時価よりも2~3割程度低く評価されることが一般的です。特に賃貸用不動産の場合は、貸家評価の減額が適用されるため、さらに評価額が下がり、時価の半分ぐらいまで下がります。これにより、相続税の課税対象となる資産額を圧縮し、結果として相続税の負担を軽減することができます。例えば、2億円の不動産を全額借入金で購入すると、借入金はそのまま2億円の評価になりますが、購入した不動産の評価は、1億円になりますので、差額の1億円分、相続財産の評価額を減らすことができます。相続税の税率が50%だとすると、これにより5000万円相続税額を減らすことができます。
次に、賃貸不動産を所有することで定期的な家賃収入が見込めます。これにより、将来的に相続税を支払う際の「納税資金」を貯めることが出来ます。相続税は原則として現金で一括納付が求められますが、すぐに現金が用意できない場合、不動産を売却せざるを得なくなるリスクがあります。賃料収入があることで、あらかじめ納税資金を蓄えることができ、安定した資産運用にもつながります。
さらに、不動産は分割の仕方次第で柔軟な遺産分割が可能です。例えば、複数の物件があれば、それぞれを相続人に分け与えることができ、争いを避けやすくなります。また、一部を売却して現金化し、バランスを取ることも可能です。このように不動産は「分割性」や「調整のしやすさ」といった面でも、相続対策として優れています。