2017年1月1日以降に行われる贈与に関して、贈与税の扱いが改正されました。具体的には、1,000万円超1,500万円以下に係る税率が50%から45%に下がると同時に、3,000万円超の税率が50%から55%に上がりました。
これとは別に今回の改正に合わせて、特例贈与財産に対する特例税率が導入されることになりました。特例贈与財産に該当する贈与とは、直系尊属(父母や祖父母)から、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者に対して行われた贈与です。
この特例税率は、一般贈与に対する税率よりも低くなっており、特に400万円超1,000万円以下の贈与に関しては、一般贈与よりも10%税率が低くなっていますので、毎年この範囲で贈与をすることは、相続対策として有効かもしれません。
贈与税率:改正前
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 |
50% |
225万円 |
贈与税率:改正後(一般贈与)
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,500万円以下 |
45% |
175万円 |
3,000万円以下 |
50% |
250万円 |
3,000万円超 |
55% |
400万円 |
贈与税率:特例贈与財産
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
400万円以下 |
15% |
10万円 |
600万円以下 |
20% |
30万円 |
1,000万円以下 |
30% |
90万円 |
1,500万円以下 |
40% |
190万円 |
3,000万円以下 |
45% |
265万円 |
4,500万円以下 |
50% |
415万円 |
4,500万円超 |
55% |
640万円 |
贈与税の計算は、上の表を使って、
贈与税=基礎控除後の課税価格×税率-控除額
で計算されますので、例えば、祖父母から20歳以上の孫に対して、1,000万円の贈与を行うと、贈与税は
(1,000万円-110万円)×30%-90万円=177万円
ですみます。これが一般贈与だと、
(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円
になります。
したがって、急いで生前贈与を行う必要がある場合などは、この程度の贈与まで行っても良いかもしれません。