6.5 同族株式の家族信託

同族会社で社長が過半数を超える株式を保有していることはよくあります。このような場合に、もし社長が認知症を患ってしまい意思表示ができなくなってしまうと、会社の重要な事項について株主総会で議決することができなくなってしまいます。

この対策のために生前に株式を贈与しておくことも考えられますが、通常の贈与を行うと多額な贈与税が発生してしまうことになります。事業承継税制を活用することも考えられますが、この税制にはいろいろな制約があり(将来株式を売却できない等)、使う人が少ないのが現実です。

そこで、このような事態を回避するために活用できるのが家族信託です。先代社長を委託者兼受益者、後継者の子供を受託者、信託財産を同族株式にする家族信託契約を結びます。

こうすると財産の管理は受託者が行うことになりますので、議決権の行使も受託者である後継者の子供が行えることになります。ただし、受益者は先代社長なので配当は先代社長が受け取ることになります。

ただし、同族会社の株式には譲渡制限が付いている場合が多いので、家族信託を行う際には、取締役会あるいは株主総会の議決が必要になる点にも注意してください。

また、この時にもう一つ問題になるのが先代経営者がすぐに議決権を失うことに抵抗がある場合があることです。このような場合に有効なのが、信託契約書に指図権の行使を条件として記載しておくことです。指図権を行使することで、委託者は受託者に対して指示を出すことができます。つまり株式を管理するのは受託者である後継者ですが、議決権を行使する際には委託者の意思が反映されるようになります。

このように家族信託の契約書に指図権を盛り込むことで、経営リスクを回避しながら、社長が元気なうちは自分の意思を株主総会で反映できるようになります。

このように同族株式を信託財産にした家族信託を行うことにより、オーナー経営者が事故や病気で意思判断能力を失った場合にも会社の経営をスムーズに継承することが出来ます。

オーナー経営者が高齢になった場合や、認知症の兆候が出てきたような場合には、家族信託の活用を検討した方がよい場合も多いです。同族会社のスムーズな事業承継のために家族信託の活用もぜひ検討してみてください。

この記事を書いた人

税理士・中小企業診断士・行政書士 落合和雄
2005 年 3 月 税理士士登録(東京地方税理士会所属)
1987 年 1 月 中小企業診断士登録(東京都中小企業診断士協会所属)
2016 年 1 月 行政書士登録(神奈川県行政書士会所属)
税理士登録以降、相続案件に力を入れ、現在年間約 70 件の相続の相談に応じています。また、中小企業診断士として年間約20件の M&A を含む事業承継の相談に応じています。行政書士としては、遺言書の作成、家族信託の支援も数多く扱っています。
ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、関係者みんながハッピーになれる方策を探るように心がけています。

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