特定贈与信託とは、特定障害者の方の生活費の安定供給を目的として、一定の信託契約に基づいて特定障害者の方を受益者とする信託契約で特定障害者の方の生活の安定と療養の確保をはかる制度です。
ここで特定障害者とは、特別障害者および障害者のうち精神に障害のある方で次に該当する方を言います。
(1)知的障害者
(2)精神障碍者保険福祉手帳の所有者
(3)65歳以上で、(1)に準ずると市区町村長、もしくは福祉事務所長の認定を受けている者
また、特別障害者とは、以下の方を言います。
(1)事理を弁識する能力を欠く常況にある重度の知的障害者
(2)障害者等級1級の精神障害者保健福祉手帳の所有者
(3)障害者等級1級、2級の身体障害者手帳の所有者
(4)特別項症から第3項症までの戦症病手帳の所有者
(5)厚生労働大臣の認定を受けた原子爆弾被爆者
(6)常に病床につき複雑な介護も要し、その程度が(1)または(3)に準ずると福祉事務所長の認定を受けている者
(7)65歳以上で、(1)または(3)に準ずると市区町村長、もしくは福祉事務所長の認定を受けている者
例えば父親の収益不動産を信託財産とし、委託者を父親、受託者を父親、受益者を特定障害者である長男に設定し、父親に判断能力が亡くなるようなことがあれば、受託者を健常者である次男に設定するなどの信託契約にしておけば、父親に何かあっても長男の生活は保障できるようにすることが可能です。
ただし、ここで問題になるのが長男を受益者にしてしまうと、委託者から受益者に対するみなし贈与が発生してしまうという点です。この課税を防ぐために設けられているのが、特別障害者非課税信託という制度で、財産を信託する際に「障害者非課税信託申告書」を、所轄税務署長に提出することで、この課税を一定額まで免除してもらうことが可能になります。